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2022.09.29
オオサンショウウオの未来を守る活動に取り組んでいます
京都水族館では開業以来、京都市 文化財保護課と京都大学 西川研究室が中心となって行う鴨川水系でのオオサンショウウオの調査や研究に参加し、保護された個体の飼育施設として協力しています。
また、オオサンショウウオの姿や現状をより多くの方に知っていただけるような情報発信の場になるよう努めています。
今回はそんなオオサンショウウオにまつわる活動の一部紹介します。
2022年9月、「京の川」エリアに新たな展示コーナー「鴨川の主、オオサンショウウオ」をオープンしました。
オオサンショウウオはどんなところに住んでいるのか。どのような姿をしているのか。何を食べているのか。
また、日本固有の在来種と外来種が異種交配して生まれた交雑個体の問題など、オオサンショウウオにもっと関心をもってもらえるよう展示を工夫しています。
「鴨川の主、オオサンショウウオ」では、オオサンショウウオの幼生と幼体の展示を開始しました。常設展示としては初の試みです。
変態前でえらがある個体が幼生、変態後で体形は成体と同じに見えますがまだ繁殖能力がない個体が幼体です。当館で展示している幼生と幼体は、いずれも交雑個体です。
オオサンショウウオはその生態や寿命など、未だ謎に包まれたいきもので、国内外に交雑個体の成長の詳細を記録したものがありません。
そこで京都水族館は、在来種との成長過程の違いを検証するため、交雑個体を幼生から飼育し、成長の記録を開始しました。
現在展示している幼生は1~2月頃、幼体は4月に参加した生息調査にて発見された個体です。
現在(※)の幼生は7~10㎝ほどで、孵化から推定10か月程度。日々すくすくと成長中のため、月に1回体長と体重の測定をしています。
幼体は25㎝ほどで、孵化から推定5~6年。サイズは小さいながらも、成体とほとんど変わらない姿を見ることができます。
※2022年9月現在。以下の写真は採集当初の計測の様子。
孵化してから繁殖能力を得る成体になるまで、在来種で約17~18年かかる(諸説あり)と推定されています。
交雑個体についても未だ解明されていないため、成長過程を観察することで様々なことが解明できると期待しています。
京都水族館に遊びに来た際は、ぜひ私たちと一緒にオオサンショウウオの成長を見守ってください。
京都水族館は、京都市と京都大学が中心となって行う鴨川水系でのオオサンショウウオの野外調査に同行しています。
2021年度は6回実施し、飼育スタッフが実際に野外調査を行いました。
調査内容は、京都市内での分布状況を調べるほか、必要に応じて保護をしたりします。また、新たに捕獲した個体は、在来種、外来種、交雑個体の区別が外見ではつかないため、京都大学にてDNA鑑定されます。
先日は京都市の要請を受け、傷ついたオオサンショウウオの在来種を、保護しました。
獣医の治療を受け、現在は京都水族館のバックヤードにある水槽で経過を観察しています。
これからも京都水族館は、オオサンショウウオを近くで見て、特徴に触れ、いきものの面白さ、身近な自然環境の大切さを考えるきっかけとなるよう、さまざまな活動を行っていきます。
京都水族館では、未来の地球にバトンをつなぐ、サステナビリティ推進プロジェクト「AQTION!(アクション)」を行っています。
水族館だからこそ見えてくる地球や社会の課題に対して、未来を担うこどもたちや地域社会と一緒に取り組みます。