京都水族館 KYOTO AQUARIUM BY ORIX

コラム

クラゲワンダー研究部員の観察日誌/サカサクラゲ編

  • いきもの紹介
  • 京都クラゲ研究部

2020年に誕生した「クラゲワンダー」。ここでは約30種類のクラゲたちと出会うことができます。
多種多様な特徴を持つクラゲたち。それぞれの見どころを知ることで、お気に入りのクラゲが見つかるかもしれません。

型にはまらないビジュアルと生き方

水槽の底で、まるでイソギンチャクのようにじっとしながら存在感を放つクラゲがいます。一見するとクラゲには見えないそのいきものはサカサクラゲです。

水槽の底に沈むサカサクラゲ

その名の通り「逆さ」を向き、暖かく浅い砂地に生息する直径10㎝ほどのクラゲです。
一般的にイメージされるようなふわふわと漂うクラゲの姿とはかけ離れているため、通りかかるお客さまも思わず「クラゲが沈んでいます!」、「元気がないのですか?」と飼育スタッフに声をかけてしまうほど。ですが、まったく問題ありません。サカサクラゲは漂うことを止め、逆さまのまま生活しやすいよう進化を遂げたクラゲなのです。

サカサクラゲの色と模様

クラゲというと白色や透明など薄い色をイメージしますが、サカサクラゲは茶褐色の体をしています。これは、サカサクラゲの体内に「褐虫藻(かっちゅうそう)」という植物プランクトンが共生しているためです。

500円玉大の稚クラゲ、育成には光が必須

この褐虫藻は、太陽の光を浴びて光合成をし、作り出した栄養分をサカサクラゲと共有することができます。プランクトンを捕食する以外の食事の手段を持っているサカサクラゲは、健康な状態であれば、褐虫藻が作り出す栄養分だけで3カ月ほど生きることができると言われています。

また、平らな傘に放射状に伸びる白い筋は「軟骨状組織」といい、骨を持たないクラゲの体の硬さを保つのに役立っています。

傘の縁に模様が入った個体

「痛い水」の正体

クラゲといえばあの長い触手に触ると毒針に刺される…と考えているみなさん。クラゲの体に触らなくても、周囲の水に触れるだけで刺されることがあるのをご存じでしょうか?
触れると「痛い水」の正体はサカサクラゲの刺胞(しほう)。刺胞とは毒針が収納された細胞のことですが、サカサクラゲは長い触手を持たず、この刺胞を含んだ粘液を体の外に放出することで自身の周囲の海水に触れたプランクトンを捕らえています。

このネバネバがサカサクラゲの戦略

この構造は2020年に論文で発表され、サカサクラゲの学名(いきものの世界共通の名前)にちなんで「カシオソーム」と名づけられました。「カシオソーム」はたびたび「毒入り手りゅう弾」と表現されており、いかにも痛そうな特徴が伝わってきますね。
ごはんをあげた後のサカサクラゲの水槽では、水中をネバネバと舞う粘液を見ることができます。水槽の前を通りかかった際には、ぜひこのコラムを思い出しながら観察してみてくださいね。


[展示飼育チーム 六浦]

他のクラゲコラムは京都クラゲ研究部をチェックしてみてください!

 


関連コラム


コラム一覧

これより先は外部のサイトに
移動いたします。
移動してもよろしいでしょうか。