コラム
環境エンリッチメントワークショップを開催しました!~後編~
- 活動報告

2026年6月3日から5日にかけて、京都水族館で環境エンリッチメント*について考え、実践するワークショップを開催しました。全国の動物園・水族館から41人が集まり、3日間にわたって環境エンリッチメントへの理解を深めました。
*「アニマルウェルフェア」の考えのもと、動物の飼育環境を豊かで充実したものにする試みのこと
そのワークショップのようすを、運営メンバーである飼育スタッフの岡本がご報告します。
前編はこちら。
前編では、ワークショップ1日目の講演会やグループワークのようすをお伝えしました。
後編では、実際にエンリッチメントを実践したようすをご紹介します。
展示エリアに設置するアイテムの計画がある程度まとまったら、早速作業開始です!
準備された材料を確認しながら、おもちゃや設置物を作成しました。これまで京都水族館ではあまり使ったことのない材料も取り入れながら、皆さんと一緒に工作をしました。参加者の皆さんは動物園や水族館で働く現役の飼育スタッフなので、工具の使用なども手馴れているようすで、どのチームもとてもスムーズに作業が進みました。安全確認などを済ませたのち、さっそく展示エリアに取り付けて、動物たちの行動を観察しました。
作成物を展示エリアに設置すると、とても興味津々ですぐに近づいて遊び始める個体もいれば、少し警戒して遠くから見ている個体もいました。また、時間が経ってようやく少しずつ遊びだす個体も。個体によって性格が違うので、反応はさまざまでした。
オットセイやアザラシには、これまで使ったことのない消防ホースを使用したおもちゃを作成しました。関心を示す個体が多く、つついたり見たりしながら、どう遊べばいいか迷いつつも興味を示してくれました。
ペンギンの展示エリアには、光を反射するミラーシールを巻いた筒を置いてみました。反射した光が動くたびに、目で追い興味を示した個体もいました。普段とは違った刺激を与えることができ、まさに環境エンリッチメントを考えるきっかけとなりました。
イルカには、体にひっかけたり噛んで遊べるようなおもちゃや、魚をくくり付けたおもちゃを作成しました。とても気に入り「返したくない!」と反応する個体もいて、それぞれの動物たちに興味関心を持ってもらうことができ、飼育スタッフとしてはうれしい限りでした。
環境エンリッチメントには、この順序で取り組んでいきましょう!という「SPIDERモデル(Setting Goal: 目標設定、Planning:計画、Implementation: 実施、Documenting: 記録、Evaluating: 評価、Readjusting: 再調整)」というものがあります。
今回のワークショップでは、評価までの期間が2日間と短かったものの、チームによっては改良を行い再調整のサイクルまで行うことができました。
「普段の生活の中ではなかなか得られない新たな刺激を与えられるおもちゃはどんなものだろう」と真剣に考えながら、それぞれのチームがアイデアを形にしていきました。動かすと音が出る仕掛けを作ったり、柔らかさや太さの異なる素材を組み合わせたりするなど、いきものの安全性にも十分配慮しながら制作を進めました。どのチームも非常に創意工夫を凝らしており、素敵なものができました。
あっという間に2日目も終わりが近づき、展示エリアでの実践後は、チームごとに取り組みを発表しました。さすが、動物園や水族館のスタッフ!というような、盛り上げ上手な参加者の方も多く、どのチームの発表も、動物たちをしっかり観察して、性格や特徴を捉え、それぞれに合うように考えられていました。斬新なアイデアも多く、とても面白かったです。笑いもたくさん起こりながら楽しく発表が進みました。
総合的に一番良かったチームを決める「京都水族館賞」は、アザラシチームが選ばれました。京都水族館のグッズといえばオオサンショウウオ!ということで、賞品としてプレゼントしました。
環境エンリッチメントの一連の流れを体感して学ぶとともに、動物園水族館の飼育スタッフ同士、色々な話も弾み、楽しく交流をすることもできました。
今回のワークショップでは、観察や行動分析を通して、京都水族館の動物たちがどんなことに興味を持ち、どうやって暮らしているのかを改めて知る機会となりました。
新たなおもちゃを興味津々で見たり遊んだりする動物たちの姿を見ることができ、動物たちにとっても良い刺激となったかなと思います。
ワークショップ後も夢中になって遊ぶ姿も見られ、動物たちのより良い豊かな暮らしに少し近づけたかなと感じています。
これからも、動物たちのQOL向上につながる取り組みを考えていきたいと思います。
水族館における環境エンリッチメントはまだまだ始まったばかりで、たくさん考えることがありそうです。全国の水族館や動物園で暮らす動物たちが、より良い暮らしをしていけるよう、これからもこうした取り組みの輪を皆さんと一緒に広げていけたら良いなと思いました。
最後に、ワークショップにご参加いただきました皆さま、企画の準備から実施・運営などを行ってくださったSHAPE-Japan、京都市動物園をはじめ、ワークショップに関わってくださったすべての皆さまに心より感謝申し上げます。
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